連載.GLOBAL EYES ON DESIGN from America

『IDEA』にみるアメリカ文化とその進化におけるデザイン視点

文化を進化させる新たな着眼点


金賞の中で筆者が特にユニークだと感じたものに共通するのは、元々ある文化や考え方にしっかり根差していて、それを斬新な視点と現代の技術によって進化させているデザインだ。

ヘルスケア+ユニバーサル化


デザイナーであり、Include Fitness社の設立者Ryan Ederは次のように語った。「きっかけは車椅子に乗った男性が大きなバッグから沢山のアタッチメントグッズを取り出し、フィットネス器具を体に合わせて調整していたこと」「“誰もが使い易い”を追求し、膨大な調査と開発を重ね、10年でここまで来た」と。アメリカではエクササイズやリハビリで広く定着しているが、意外にもこの視点は

盲点だったといえる。操作部がグリーンで統一された分かり易いインターフェース、おもりのプレートやピンレスによる簡単操作等のハード、ユーザー/医師/トレーナーが計画管理できるクラウドソフト等、多面的に問題解決している。

DIY+デジタル化


Nascent Objectsはセンサーやカメラ等、機能特化したデジタル機器のモジュラープラットフォームだ。必要なモジュールを組合せれば簡単にマイ家電を作れる。DIYの可能性を大きく広げる製品だ。

今回感じたのは、多くの優れたデザインのスタートは常日頃のささいな事柄に対する着眼点だということ。そのためには文化を表面的にこういうものだと思い込まず、問題意識を常に持てるようにしたい。そして今度は自分が壇上に上がれるような製品を創り上げたいと思う。