ポスト・インターネット時代のインターフェースデザイン

情報世界との新たな関わり方

情報の身体性


これからのインターフェースを扱う上で、考えなければならないのは、いかに情報を身体に結びつけられるか。直接身体で扱える道具と違い、情報の操作には様々な処理が入り、間接的になってしまう。


視覚情報のみで感触を提示する「VisualHaptics」。画面に表示されたテクスチャー上でカーソルを動かすと、実際にテクスチャをなぞっているかのような感覚が得られる。下記アドレスから体験可能。 http://www.persistent.org/VisualHapticsWeb.html

操作がスムーズに行われるためには、人の身体感覚との関係性が重要だ。たとえばiPhoneは、画面表示が人の指の動きに滑らかに追従するため、身体の延長のように扱うことができ、触っていて心地良い。 情報の身体性に関して、渡邉氏は「動き」の観点から考察を行っている。下に示したよう


画面上に、自分が操作するカーソルとそれに連動して違う動きをする複数のダミーカーソルがあり、その中から自分の本物のカーソルを見つけ出せるか、という「ダミーカーソル実験」。カーソルと自分がリンクするためには「動き」が重要な要素であることを示した。

な実験を通して、人の動きと情報の連動、それによって立ち上がる質感・感触が身体性を生み出すために重要だと明らかにした。 情報との関係がさらに変化していく今後、「身体性」はさらに重要度を増し、「自分が操作している」と感じられる設計がデザインの対象になっていく、と渡邊氏は語る。

手の動きに合わせて反射が変化することでテクスチャーの質感を表現した「LiveTexture」。加速度センサー、カメラ、照度センサーを用いたインタラクティブな表現は、視覚情報のみによって質感を強く感じさせ、「手に持っている感覚」を高めることに寄与している。

今後、インターネットは生活により深く入り込み、その膨大な情報をうまく生活に還元できるようなモノが人の行動を助けていく。 そしてその接点となるインターフェースは、人の知覚に対する配慮があり、身体感覚に近いと感じられるものであることが重要だ。