連載.modeler’s EYE

第12回 「自遊石」伊藤石材店

石材店を継ぐ前から、自己表現として作家活動をやろうと決めていた。 日常生活の中で目にするモノを石で模倣したくさんの作品を制作していく中、技法も全てオリジナルで試行錯誤し、何が良いかということを模索してきた結果、石のことがだんだんわかってきた。

作家活動を通じて顧客のイメージや希望に応えられる表現の幅は広がった。墓石にファスナーを付けて欲しいと求められたこともあるが墓石作りでは「故人に想いを馳せる本来の目的」を守り制作を行う。しかし、その中にも作家活動で培ったノウハウは忍ばせ「顧客を上手に裏切ることを心掛けています。」と伊藤氏は笑顔で話る。

自ら培ってきた技術やノウハウに他分野からのヒントを掛け合わせ、アイデア ・ 表現の幅を増やす。 それを続けることで素材を知り、 独創的なスタイルが生み出され、「顧客を上手に裏切る」という思いから、驚きや感銘を与えられるモノづくりができるのだと感じた。