利用者に寄り添う公共トイレのおもてなし

「おもてなし」の空間を手がけるプロフェッショナルに聞く

他フロアも同様に、販売されるものから利用者層を定め、それをもてなすための設備が用意され、各フロアで異なるアロマや音楽・環境音、雰囲気を演出するための間接照明などのインテリアで演出している。これらの工夫でSwitchRoomならではの、女性にとって嬉しい居心地のよい空間を生み出した。

B2Fフロアのベビー休憩室は夫婦で利用できる。 奥の授乳室はパウダースペースとしての機能も持つ。

共有部から丸見えにならない通路や、十分な個室ブースの数、ショッピングには欠かせない荷物置き等を利用者が満たされるよう

機能をバランスよくレイアウトした上で、面白さ・見せ場をどこに持っていくかが、トイレ空間をデザインする鍵だと言う。「トイレとして必要な機能はきちっと全て網羅した上で、女性に長居してもらえるような居心地の良さを付加することがねらいでした。SwitchRoomがきっかけとなって、大人の女性が渋谷に入っていくようになればと思っています」。各フロアで利用者の女性に寄り添い、心に残る嬉しさを作る。そんな工夫の数々がSwitch Roomからは感じ取ることができた。

それぞれの人が満足する空間

2人目は、設計事務所ゴンドラの代表取締役を務める小林純子氏。最近では名古屋駅にオープンしたゲートタワーモールや、2020年のオリンピックを見据えた成田空港内のトイレの全面リニューアルなど、全国の様々な公共施設のトイレを設計されている。場所によって使用頻度、メンテナンス状況、利用者層がガラリと変わる公共トイレだが、それぞれに合わせた利用者の満足を考えることが大事だと小林氏は話す。

1991年に設計事務所ゴンドラを設立。 設計業務の8割がトイレ空間とのことで、公園や学校から、交通機関や商業施設まで幅広くトイレの設計を手がけるトイレづくりのプロフェッショナルだ。