人に合わせたうれしさを提供するドア

未来のドアの可能性を追求しているYKK AP株式会社に聞く

ドアは私的空間と社会との繋ぎ目

「UPDATE GATE」という名前は商品も生活もアップデートしていく事を目指してつけた。住んだ後に不満が出てくるのは窓やドアに関するものが多いが、お客様の窓やドアに対する興味は薄い。もっと窓やドアを意識してほしくてプロジェクトを開始した。窓とドアは私的空間と社会との繋ぎ目。また人と情報の接触の場なので、生活を大きく変えるポテンシャルを持っている。未来ドアは2020年の発売を目指していて、一般のドアは一番高いもので80万円ほどだが、未来ドアは130~200万円くらいの価格を想定している。近年、宅配の再配達問題、介護サービスの活用、民泊の普及など、訪問者は多様化している。また、お年寄り、ペット、共働き世帯の子供など、見守りのニーズも高まっている。

このような社会的問題の解決の為に、来訪頻度の高いユーザーを判別して招き入れることやスマートフォンと連携した見守りができるようにしている。現状はドアという1つのアイテムに可能な事をできるだけ詰め込み、体験ができるような状態でショールームに展示しており、広くユーザーの反応を見ながら、緊急時の対応など実際の生活で起こりうる課題を一つ一つ解決している。多様なユーザー

に見てもらう事で、用途の可能性も広がっている。例えばホテルスタッフの業務の一部をドアが行う、普段は壁と一体化しているが、入室許可のある人の前では扉になる、広告を表示して収入を得る。また車と連携し、ドアを開けるタイミングを合わせてストレスなく移動できるようにするなど、周囲の環境に合わせたサービスなども考えられる。これらは実際にカタチにすることで見えてきた良さであり、このドアが提供できうる価値だ。

私的空間と社会との繋ぎ目には必ず課題が存在する。課題をカタチにして解決する事により、「価値」に生まれ変わり、可能性が広がる。家族が毎日通るドアのようなコンタクトポイントは車のドアにも通じ、日々の生活をより豊かに過ごす為の可能性を秘めた重要な箇所である。