ワンアクションでコネクトする試み、タクシーホイッスル

「乗ること自体が楽しいタクシー」を生み出し続ける三和交通に聞く

「面白い」企画を即決実行

初期に行ったクラウドファンディングでは、122人の支援者(購入者)が集まり、その後の一般販売では現在4人が購入しているという。だが、タクシーホイッスルの一番の狙いは売上の向上などではない。

タクシーホイッスルの一番の狙いは、三和交通に注目を集め認知度を向上させることだ。実際にその狙いは成功しており、トヨタ自動車が運営するGAZOO.comをはじめ、様々なニュースサイトやテレビ番組で取り上げられている。三和交通は、注目を集めるためにタクシーに楽しさや非日常感を与え、お客様をワクワクさせる取り組みを、タクシーホイッスル以外にもツアー企画を中心に行っており、他社との差別化を図っている。「大手タクシー業者と差別化し生き残っていくために


面白いと感じてもらえる取り組みで注目してもらうことが重要だと考えています。」と小関氏は話す。

タクシーホイッスルの開発のきっかけは、三和交通社長の吉川氏の発案だった。
「“風の谷のナウシカ”にでてくる蟲笛のように、吹いたらタクシーがやってくる魔法の笛をつくりたい」という吉川社長のイメージと、「江戸時代では駕籠を笛で呼んでいた」という事実から、タクシーを呼ぶ手段としての「笛」というアイデアが生まれた。
東京近郊のタクシー会社の中でも中堅規模である三和交通が、「面白さ」を出発点としたアイデアをスピーディにプロダクトとして実現したことも、各界から注目を集める理由だろう。

認知度向上のための「面白さ」を出発点としてそのアイデアに辿り着き、スピーディに製


品として具現化・発売した姿勢は、我々の製品開発においても学ぶべきところが多いのではないか。





操作方法が明快な単機能の“モノ”として実現させること、昔から人が慣れ親しんだアナログな手法をあえて取り入れることが、使いやすいインターフェースの手段の一つである。また、「面白さ」を出発点とした製品開発、アイデアをそのままスピーディに製品化する姿勢が、新しい視点でのアイデアや価値観の創出のためには必要なのではないか。