観光客と島民双方に最適な移動を届ける、日間賀島の観光型MaaS実証実験

観光客だけでなく、島民にもうれしい移動サービスとは?

観光客と島民、双方のための移動サービス

2020年の1月25日から27日の3日間、愛知県 の日間賀島で観光型MaaSの実証実験が開始された。離島という特殊な環境でMaaSの実証実験を実施する目的や課題について、実験に参画している株式会社NTTドコモの沖野直氏にお話を伺った。日間賀島は島民と観光客が混在している。島民は高齢化が進み、島内の移動手段が必要。観光客は宿まではバスが出るが、そこから子供を連れての移動が大変。

そのため観光型MaaSといえど地域に根ざすことが重要で、双方のニーズに合わせた最適な移動サービスを提供することが必要となる。

島民のための「観光型」MaaS

今回の実証実験では、次の5項目が実施された。

1. QRコードを使った鉄道・バス・観光船・バイクシェアの乗り継ぎ情報の提供
2. 船と自動運転バスの相互位置情報共有
3. 通信機能付きシェアサイクルの設置
4. プロドライバーの遠隔監視によるバスの自動運転と路側カメラによる安全監視
5. 顔認証による自動運転バスの乗車確認
1.2.3 は観光型MaaSのメインである交通手段の情報検索/予約/決済などの一連の観光体験をネットワークを用いて一元的に提供することを、4 は路車協調による安心安全な運航が目標だ。そして5 は乗客が観光客か島民かを判別し、後者なら地域の足として無料で乗れるようにするなどサービスを差別化すること

が可能になる。観光型MaaSを島民の移動手段としても利用することを前提としている。

安全・安心をサポートする車内
事故防止技術


実証実験で使用された自動運転バスは島の高齢者も安心して乗ることができる技術が搭載されている。高齢者は足腰が弱くバスが発進する際、車内で転倒する恐れがある。
実際、車内事故の4割が発進時に起こる。運行会社は車内事故が起こると重い行政罰を受け、一時的な車両の運行禁止や新規路線が引けなくなる。運転手がいる場合、乗客の安全を確認してから発進しているが、自動運転では課題となる。

その対策の一つがアイシン精機で開発中の車内転倒防止支援技術だ。この技術はバスに乗り込む動作をカメラで確認し、その姿勢から転倒リスクを判定する。活用すれば乗客の転倒が起きないよう自動運転の発進タイミングを調整することが可能だ。