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小さい本物を作る家具職人 濱田由一氏

外注ゼロが目標

「外に出すのがイヤやねん」と笑いながら話す。「外注ゼロ」は自分が気に入ったことをやりたいからと話し、金属加工、溶接加工も全て自分で行う。メッキ処理も設備を整えニッケルメッキでメッキ層を作って行っているが、メッキ処理の知識を持ち合わせていなかったため「メッキ技術」の本を購入し、どんな薬品・設備が必要なのか勉強することから始めた。そして真鍮にメッキを施すやり方にたどり着いた。メッキ風スプレーもあるが、「ふう」は「ふう」でしかなく本物に見えないから使おうと思わないそうだ。

実際の家具つくりと同じ工程

デザイナーズチェアは図面が一切無く、資料となるカタログやネットを参考に写真をフォトショップで変体させて、3面図をつくる。そして記載されている実寸サイズを1/5に置き換えCADで図面を起こす。実寸の椅子を作るときの基本である、椅子の中心が木の真ん中になるような作り方も再現するため、できる限り木目をあわせ、対称に見えるような木のとり方をする。しかし、木目はミニチュア化が不可能であるため、材料選びが重要になり、導管の小さい木を使い木目さえも再現したように見せる。部材と作りを熟知した家具職人だからこその「技」である。

ミニチュアに合わせた道具

仕上げは全てカンナを使用する。実際の家具の仕事でもRごとのカンナを用意するのだが、作るのは1/5のサイズの椅子。実物が5Rなら1Rになってしまう。そんな小さなカンナは売っていない為「無いものは自分で作る」刃からすべて自分の手になじむように作る。