多様なユーザーへの観察/ヒアリングから乗降について考える

NPO法人インクルーシブデザインネットワークとの取り組み

人に迷惑をかけたくない

車いすユーザーのKさんは乗車時、運転手が慣れているかどうかが一番気になるという。乗車に時間をかけてしまうからだ。

今回、乗車時間は※約3分(スロープ収納設置100秒、ベルト留め55秒、3点セットの障がい者手帳、保険証、現金の確認等25秒)で少し長く感じたという。スロープ傾斜(7度)では自走は少し厳しく、運転手に押してもらう。混んでいた場合、迷惑を考えて次のバスに乗ることもあるという。

バス停と乗車位置が分からない

視覚障がい者のYさんは乗車するバスが合っているか分かるまでが不安だという。

点字ブロックや音で確認するが、バス停の場所は分かりづらく、乗車位置も運転手で微妙に変わる。開閉音と白杖でドア位置を確認するが、長いバスは特にドア位置の判断も難しい。降車もバスによって前後両方から降りることができ分からなくなる。停車位置が悪いと柵にぶつかる。その時々の細かな違いが分からなくて困ることが多い。

すき間と段差はつらい

片麻痺障がいのOさん、歩行困難者のFさんは共通して降車に不安を感じていた。降車時のほうが膝に負担がかかるからだ。

バスベイ(歩道)とバスの間の距離や段差は気になる。脚が棒のような状態で降りるので段差はきつく感じ緩やかであればスロープのほうが乗車しやすい。杖で体を支えて降りるので、手すりは外側まであるのが望ましい。また、杖ユーザーは地面を気にするので表示は下にあると気づきやすい。